メジャーリーグ(MLB)で最も名誉ある賞の一つであるMVP(Most Valuable Player=最優秀選手賞)。大谷翔平選手や過去にはイチロー選手など、日本人選手も受賞してきたこの栄誉ある賞ですが、「MVPを獲得すると賞金はいくらもらえるのか?」と気になる方も多いのではないでしょうか
実は、その答えは多くの人を驚かせるものです。
MVPの賞金は「0円」
MLBのシーズンMVPには、基本的に賞金が支給されません。華やかなメジャーリーグの世界で、最高の栄誉を受ける選手に賞金がないというのは意外に感じられるかもしれません。
これはMVPだけでなく、ホームラン王、サイ・ヤング賞(最優秀投手賞)、新人王など、他のタイトルについても同様です。MLB機構からタイトル獲得に対する直接的な賞金は支給されない仕組みになっています。
副賞について
賞金はありませんが、受賞者にはトロフィーや記念の盾が贈られます。ただし、特別な賞品や副賞は基本的にありません。
なぜMLBには賞金制度がないのか?
契約社会アメリカの考え方
アメリカは契約社会であり、仕事をする前に報酬は契約できっちり決められています。MVPやタイトルを獲得した場合の報酬は、選手と球団との契約の中で「出来高」という形で別途組み込まれているのが一般的です。
例えば:
- MVP受賞で○○ドルのボーナス
- 何勝以上したら○○ドル
- 何試合以上登板したら○○ドル
といった具合に、契約時に細かく取り決めがされています。
つまり、契約にそういった条項がなければ、いくらタイトルを獲得してもMLBからお金は出ません。
「名誉」を重視する文化
アメリカのプロスポーツでは、タイトルを獲得することの最大の価値は、トロフィーや歴史に名を刻む「名誉」に集約されているという考え方が強いのです。
MVPの本当の「価値」とは
賞金はありませんが、MVP受賞には計り知れない価値があります。
契約金への影響
MVPを獲得した選手の多くが契約延長やスポンサー契約の増加など、キャリア面で大きな飛躍を遂げています。翌年の契約交渉で大幅な年俸アップに繋がることも珍しくありません。
スポンサー収入の増加
MVP受賞によって知名度が上がり、企業からのスポンサー契約が増えたり、契約金額が上昇したりします。これらを合わせると、実質的には数億円規模の価値があると言えるでしょう。
日本プロ野球との比較
一方、日本のプロ野球(NPB)では状況が異なります。
NPBのシーズンMVP(最優秀選手賞)には300万円の賞金が用意されています。また、以下のような賞金制度があります:
- 月間MVP:30万円
- 日本シリーズMVP:700万円
- オールスターMVP:300万円
MLBとNPBでは、タイトルに対する考え方や報酬システムが大きく異なることが分かります。
ワールドシリーズMVPの場合は?
ワールドシリーズMVPについても、MVP単体での賞金はありません。ただし、ワールドシリーズでは別の形で報酬があります。
MLBではポストシーズンの「報奨金プール(プレイヤーズ・プール)」という仕組みがあり、チケット収入などを原資として、勝ち進んだチームに分配されます。この分配金は選手やスタッフへのボーナスとして使われるお金で、優勝チームには最も大きな割合が配分されます。
優勝チームの選手1人あたりには約40〜50万ドル(約6,000〜7,500万円)が支給されるとされています。
まとめ
メジャーリーグのMVPには直接的な賞金はありませんが、これはアメリカの契約文化と「名誉」を重視する考え方によるものです。
実際には:
- 選手個人の契約に出来高としてボーナスが組み込まれている可能性がある
- MVP受賞後の契約交渉で大幅な年俸アップが期待できる
- スポンサー契約が増加し、収入が大きく増える
という形で、間接的には非常に大きな経済的メリットがあります。
MVPという称号は、「その年のヒーロー」を決めるだけでなく、選手の将来を左右する分岐点でもあるのです。
賞金の有無にかかわらず、MVPはプロ野球選手にとって最高の栄誉であり、その価値は金額では測れないものと言えるでしょう。
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