長澤まさみが時代劇初主演!葛飾応為役に込めた覚悟とは
37歳の長澤まさみが初の時代劇主演作となる映画『おーい、応為』が10月17日に公開される。
江戸時代を代表する浮世絵師・葛飾北斎の娘であり弟子でもあった葛飾応為(お栄)を描く本作は、男社会を生き抜いた女性絵師の半生に光を当てる意欲作だ。
大森立嗣監督が脚本・監督を兼ね、長澤とは『MOTHER マザー』以来のタッグとなる。
「美人画では敵わない」と北斎も認めた画才を持ちながら、短気でたばこがやめられない豪快な性格を併せ持つ応為。
離縁後に実家に戻り、90歳で亡くなるまで北斎と共同生活を送った実在の女性画家の謎多き人生は、現代の女性たちの共感を呼びそうだ。
時代劇初挑戦となる長澤の刀剣術の稽古風景など、役作りの過程にも注目が集まっている。
葛飾応為とは何者か?知られざる女性絵師の実像
父・北斎が名付けた「応為」の由来
「おーい、飯!おーい、筆!」と北斎が日常的に娘を呼ぶ様子から付けられた「応為」という画号。
本名のお栄(およえ)が画家として自立する過程を、父子関係を軸に描く物語構成が興味深い。
江戸時代の女性画家が直面した壁
芸術が男性優位だった時代に、北斎のアシスタントとしてだけでなく独自の画風を確立した応為。
現存する作品は少ないものの、光と影を強調した「夜桜美人図」などにみられる革新的な技法は、父の影響を超えた才能を示している。
大森立嗣監督が描く「親子の共同作業」
『日日是好日』で茶道を通した師弟関係を、『星の子』で家族の絆を描いた大森監督。
今回は「天才と凡人の関係ではなく、ともに高め合う創造的パートナーシップ」として北斎と応為の関係性を再解釈する。
長澤まさみ演じる応為がたばこをふかしながら筆を走らせる様子や、北斎との激しい議論シーンなど、従来の時代劇の枠を超えた人間味あふれる描写に期待がかかる。
美術監督には北斎の代表作『富嶽三十六景』の質感を再現するべく、特殊な和紙と顔料を使用したという。
長澤まさみの役作りに迫る
時代劇初挑戦の不安と準備
「着物の着付けから刀の扱いまで、全てが初体験だった」と語る長澤。
江戸時代の女性としては異例の足袋を履かないスタイルや、男言葉まじりの話し方など、型破りなキャラクター造形に苦労した様子が窺える。
絵師役のための特訓
実際に筆を持ち、北斎風の波の描き方を3ヶ月間特訓。
作中で披露する「百物語」シリーズの妖怪画は、長澤本人による筆入れが採用されたという。
作品の見どころを徹底解説
ポイント | 詳細 |
---|---|
父子のアトリエ再現 | 実際の北斎邸を参考にしたセットで、絵具のにおいまで再現 |
江戸の色再現技術 | 当時のベンガラ顔料を特別調達し、浮世絵の褪せた色を忠実に表現 |
音楽の世界観 | 三味線とエレキギターを融合させた斬新なサウンドトラック |
なぜ今、葛飾応為なのか?現代に通じるメッセージ
男性中心の業界で自身の表現を貫いた応為の姿勢は、現代のジェンダー問題にも通じるテーマを含む。
大森監督は「才能と境遇の狭間で葛藤する人間の普遍性を描きたかった」と語り、単なる伝記映画を超えた現代性を強調する。
特に注目されるのは、北斎が娘の才能を「脅威」と感じる場面の描写だ。
天才父と才能ある娘の複雑な心理戦が、従来の時代劇にはない深みを生み出している。
まとめ:時代を超えて輝く女性アーティストの肖像
葛飾応為という知られざる女性絵師の人生を通し、芸術の本質とジェンダーの壁に挑む人間の姿を描く本作。
長澤まさみの演技変貌と大森監督の詩的な映像美が融合した、2025年秋の注目作となるだろう。
完成披露試写会では、美術関係者から「光の描写が北斎の絵そのもの」との声が上がるなど、細部へのこだわりが評価されている。
10月17日の公開日には、応為が愛用したという煙管型ペンが劇場限定で販売される予定だ。
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