2025年11月14日、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が、全米野球記者協会によるナショナル・リーグMVPを満票で受賞しました。これは大谷選手にとって3年連続、通算4度目のMVP受賞という快挙です。しかし、この数字だけを見ても、一般的な野球ファンには「どれほど凄いことなのか」がピンと来ないかもしれません。そこで今回は、大谷選手のMVP受賞が他の選手と比べてどれほど特別なのかを、歴史的な観点から詳しく解説します。
歴代単独2位となる4度目のMVP受賞
大谷選手の通算4度のMVP受賞は、メジャーリーグ史上でバリー・ボンズ氏の7度に次ぐ歴代単独2位の記録です。MVP受賞3回以上を達成した選手は、野球史上でも限られた一握りの名選手のみ。マイク・トラウト、アレックス・ロドリゲス、アルバート・プホルスといったスーパースターたちでさえ3回の受賞にとどまっています。大谷選手は今回の受賞で、これらのレジェンドたちを抜き去り、歴代2位という歴史的な領域に到達しました。
史上初の4度全て満票受賞
さらに驚くべきことに、大谷選手は4度のMVP受賞すべてで満票を獲得しています。これはメジャーリーグ史上、大谷選手ただ一人だけが成し遂げた前人未到の記録です。MVPの投票は全米野球記者協会の30人の記者によって行われますが、全員が一致して1位票を投じるということは、その年の活躍が誰の目から見ても圧倒的だったことを意味します。
2021年と2023年にエンゼルスでアメリカン・リーグMVPを、そして2024年と2025年にドジャースでナショナル・リーグMVPを受賞。全てで満票という事実は、大谷選手の実力が時代を超越していることの証明と言えるでしょう。
3年連続受賞はボンズ以来史上2人目
大谷選手は2023年から2025年まで3年連続でMVPを受賞しています。これはバリー・ボンズ氏が2001年から2004年まで4年連続で受賞して以来、21年ぶり史上2人目の快挙です。この連続受賞がいかに困難かは、メジャーリーグの歴史が物語っています。毎年リーグには30チーム、900人近い選手がいる中で、3年連続でトップに君臨し続けることは、ほぼ不可能に近い偉業なのです。
両リーグでの複数回受賞は史上初
大谷選手は、アメリカン・リーグとナショナル・リーグの両方で複数回MVPを受賞した史上初の選手でもあります。両リーグでのMVP受賞自体は、フランク・ロビンソン氏(1961年レッズ、1966年オリオールズ)が達成していますが、それぞれのリーグで複数回受賞したのは大谷選手が初めてです。これは、どの環境、どのチームに行っても圧倒的な成績を残せる適応力の高さを示しています。
投打二刀流という唯一無二の価値
大谷選手の最大の特徴は、何と言っても投手と打者の両方で一流のプレーを見せる「二刀流」です。2025年シーズンは、2度目の右肘手術からの復帰シーズンで、打者としては打率.282、55本塁打、102打点という驚異的な成績を残しました。さらに投手としても14試合に登板し、1勝1敗、防御率2.87という結果を残しました。
歴史を振り返っても、ベーブ・ルース以降、投打両方で高いレベルのプレーを続けられる選手はほとんど存在しませんでした。大谷選手は現代野球において、その常識を覆し続けています。投手でWAR(勝利貢献度)を稼ぎ、打者でもWARを積み上げる。この二重の貢献が、他の選手との決定的な違いを生み出しています。
指名打者としての初MVP(2024年)
2024年シーズン、大谷選手は右肘手術の影響で指名打者(DH)に専念しました。実はこれまで、DH専任の選手がMVPを受賞したことはありませんでした。守備に就かないことが評価を下げる要因と考えられていたためです。しかし大谷選手は、史上初の「50本塁打-50盗塁」を達成し、54本塁打、130打点で2冠に輝くという圧倒的な打撃成績で、この常識を打ち破りました。この事実は、DHの新たな可能性を示すとともに、大谷選手の打撃力がいかに別次元であるかを物語っています。
結論:大谷翔平は歴史に名を刻むレジェンド
大谷翔平選手のMVP受賞は、単なる「素晴らしい選手」というレベルを遥かに超えています。4度全て満票での受賞、3年連続受賞、両リーグでの複数回受賞、投打二刀流という唯一無二のスタイル――これらすべてが組み合わさることで、メジャーリーグ史上でも類を見ない特別な存在となっています。
ベーブ・ルースやバリー・ボンズといったレジェンドたちと肩を並べ、時には超える記録を次々と打ち立てている大谷選手。その活躍は、まさに「生きる伝説」と呼ぶにふさわしいものです。今後も大谷選手がどこまで記録を伸ばし、野球界の歴史を塗り替えていくのか、世界中のファンが注目し続けることでしょう。
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