2025年11月18日の夜、多くのユーザーが「Xが使えない」「タイムラインが表示されない」「エラーが出る」といった問題に直面しました。この記事では、今回の大規模障害の原因、影響範囲、対処法について詳しく解説します。
何が起こったのか?障害の概要
2025年11月18日20時45分頃(日本時間)から、X(旧Twitter)で大規模な障害が発生しました。多くのユーザーが以下のような症状を報告しています。
- タイムラインが表示されない
- 「問題が発生しました。再読み込みしてください」というエラーメッセージ
- 「現在、ポストを取得できません。しばらくしてからやりなおしてください」という表示
- 投稿(ポスト)の送信ができない
- 動画の再生ができない
- 新規アカウントの作成ができない
- 内部サーバーエラー(エラーコード500)
この障害は日本だけでなく、世界規模で発生していました。Xのリアルタイム検索では「X不具合」「Twitter障害」「Twitterくん」などのキーワードがトレンド入りし、競合サービスのThreadsにも「Xが使えない」という投稿が多数寄せられました。
障害の原因:Cloudflareとは?
今回の障害の根本的な原因は、X自体の問題ではなく、**Cloudflare(クラウドフレア)**というインターネットインフラサービスで発生した障害でした。
Cloudflareの役割
Cloudflareは、世界中の企業が利用するCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)サービスです。簡単に言えば、Webサイトやアプリを高速化し、サイバー攻撃から守る「インターネットの交通整理係」のような存在です。
主な機能は以下の通りです。
- Webサイトの表示速度を向上させる
- DDoS攻撃などのサイバー攻撃から保護する
- サーバーの負荷を分散させる
- SSL/TLS暗号化通信を提供する
世界中の数十万社の企業がCloudflareを利用しているため、Cloudflareに障害が発生すると、依存しているサービスが一斉に影響を受けるという構造になっています。
今回の障害の詳細
Cloudflareは公式ステータスページで、「複数の顧客に影響する広範な500エラー(Widespread 500 errors)が発生している」と発表しました。500エラーとは、サーバー側で何らかの問題が発生していることを示すエラーコードです。
Cloudflareの最高技術責任者(CTO)であるデーン・クネヒト氏は、障害の原因について「ボット対策機能を支えるサービス内の潜在的なバグにより、ルーチンの設定変更後にサービスがクラッシュしたことが原因」と説明しています。つまり、サイバー攻撃ではなく、内部のシステムトラブルだったということです。
Xだけじゃない!影響を受けたサービス
今回のCloudflare障害は、Xだけでなく多くのサービスに影響を与えました。
主な影響を受けたサービス
- X(旧Twitter) – タイムライン表示不可、投稿不可
- ChatGPT – アクセス不能、応答遅延
- Discord – 接続障害
- Spotify – 再生トラブル
- Zoom – 接続不安定
- Microsoft Teams – 通信障害
- Canva – アクセス困難
- Steam – ゲームサーバーへの接続問題
- League of Legends – プレイヤー接続解除
- VALORANT – 接続障害
- AWS(Amazon Web Services) – 一部サービスで問題
- Google関連サービス – 接続不具合
- 米国エネルギー規制当局のWebサイト
- ニュージャージー州交通局のWebサイト
- ムーディーズのWebサイト
このように、個人が日常的に使うSNSやチャットツールから、企業が業務で利用するクラウドサービス、さらには政府機関のWebサイトまで、幅広い範囲で影響が出ました。
障害の経過と復旧タイムライン
Cloudflareと各サービスの障害対応の経過を時系列でまとめました。
日本時間での経過
11月18日 20:45頃 – 障害発生。Cloudflareの内部サービスで問題が発生し、広範な500エラーが観測される
11月18日 20:48 – Cloudflareが公式ステータスページで障害を確認し、調査開始を発表
11月18日 21:00頃 – ユーザーからの不具合報告がSNSで急増。「X不具合」「Twitter障害」がトレンド入り
11月18日 22:09 – Cloudflareが問題を特定し、修正作業を開始
11月18日 22:21 – 一部サービスが回復傾向を示すも、依然として通常より高いエラー率
11月18日 22:35 – Cloudflareがサービス復旧に取り組んでいることを発表
11月18日 23:13 – Cloudflare AccessとWARPが復旧
11月18日 23:34 – ダッシュボードサービスを復旧させる変更を適用
11月18日 23:42 – Cloudflareが「修正を実施し、本件は解決したものと考えています」と発表
11月18日 23:54 – 大部分のサービスが正常に復旧。ユーザーからも「使えるようになった」という報告が増加
11月19日 00:00頃 – 米東部時間午前10時(日本時間24時)までに多くのサービスが復旧完了
11月19日以降 – 一部の企業向けサービス(ダッシュボードへのログインなど)では影響が残るものの、一般ユーザーが使用する部分は正常化
障害発生から完全復旧まで、約2時間半から3時間程度かかったことになります。
あなただけじゃない!ユーザーの反応
今回の障害について、SNS上では多くのユーザーが戸惑いや不安を表明していました。
「Xが使えない!アプデのせいかと思った」「新しいアカウント作ろうとしてもエラーが出る」「タイムラインが真っ白で何も表示されない」といった声が相次ぎました。
興味深いのは、Xの障害時に旧名称の「Twitter」という言葉が多く使われたことです。Yahoo!リアルタイム検索では「Twitterくん」「Twitter不具合」「Twitter調子悪い」などがトレンド入りしました。2023年7月に「X」へ名称変更されてから1年以上経過しているにもかかわらず、多くの人が依然として「Twitter」という呼び方に親しみを感じていることが分かります。
また、Xが使えない間、ユーザーはThreads、Bluesky、Misskey、Mastodonなどの代替SNSに避難する動きも見られました。ただし、これらのサービスの一部もCloudflareを使用していたため、同様に接続できなくなったという報告もありました。
障害発生時の対処法
Xやその他のサービスが使えなくなった場合、以下の対処法を試してみてください。
基本的な対処法
1. 公式情報を確認する
まずはCloudflareの公式ステータスページで障害情報を確認しましょう。
- Cloudflareステータスページ: https://www.cloudflarestatus.com/
大規模な障害の場合、ユーザー側では直接解決できないため、復旧を待つしかありません。
2. アプリやブラウザの再起動
一時的な不具合の場合、アプリの再起動やブラウザのリフレッシュで解決することがあります。
- アプリを完全に終了して再起動
- ブラウザのキャッシュをクリア
- ブラウザの再起動
3. ネットワーク接続を確認
自分のインターネット接続に問題がないか確認します。
- Wi-Fiやモバイルデータ通信のオン/オフを切り替える
- 他のWebサイトが正常に表示されるか確認
- ルーターの再起動
4. 他のユーザーの状況を確認
DownDetectorなどの障害情報サイトや、他のSNSで同じ問題が報告されているか確認します。多くのユーザーが同じ問題を抱えている場合、サービス側の障害である可能性が高いです。
5. アップデートを確認
アプリが最新バージョンかどうか確認し、必要に応じてアップデートします。ただし、今回のようなCloudflare障害の場合、アップデートでは解決しません。
やってはいけないこと
何度もログイン・ログアウトを繰り返さない
障害中に何度もログイン試行を繰り返すと、アカウントがロックされる可能性があります。
アカウントを削除しない
「アカウントがおかしくなった」と思って削除してしまうと、取り返しがつきません。大規模障害の可能性を考慮して、落ち着いて状況を確認しましょう。
不審なリンクをクリックしない
障害に便乗した詐欺やフィッシングサイトが出現することがあります。「アカウントを復旧するにはこちら」といったメッセージには注意が必要です。
なぜこのタイミングで障害が発生したのか?
今回の障害が11月18日の夜に発生した背景には、いくつかの要因が考えられます。
1. ドメイン移行の影響
Xは最近、x.comドメインへの移行を進めています。このような大規模な変更の直後は、システムが不安定になりやすい時期です。
2. 季節的なトラフィック増加
11月は年末に向けてインターネットのトラフィックが増加する時期です。特に夜の時間帯は多くの人がSNSを利用するため、サーバーへの負荷が高まります。
3. 定期メンテナンスとの重なり
Cloudflareは複数のデータセンターで定期メンテナンスを実施していました。メンテナンス中はトラフィックが他拠点に迂回されるため、システムに負担がかかります。
4. 設定変更のタイミング
Cloudflareの説明によると、「ルーチンの設定変更」後にバグが顕在化してクラッシュしたとのことです。つまり、意図しない設定変更のタイミングが悪かったということになります。
これらの要因が重なった結果、今回の大規模障害につながったと考えられます。
今後の対策と教訓
今回の障害から、私たちが学べることがいくつかあります。
ユーザーとしてできること
1. 複数のサービスを利用する
一つのSNSに依存せず、複数のプラットフォームを使い分けることで、リスクを分散できます。Threads、Bluesky、Mastodonなど、代替サービスを準備しておくのも良いでしょう。
2. 重要な情報はバックアップを取る
SNSだけに重要な情報を保存せず、定期的にバックアップを取りましょう。特に仕事で使う場合は、別の連絡手段も確保しておくことが重要です。
3. 障害情報の確認方法を知っておく
Cloudflareのステータスページ、DownDetector、各サービスの公式アカウントなど、障害情報を確認できる場所を把握しておきましょう。
企業や開発者が考えるべきこと
1. Cloudflareへの依存度を確認する
自社サービスがどの程度Cloudflareに依存しているか、CDN、WAF、DNS、画像配信など、役割ごとに確認しておくことが重要です。
2. 冗長化とバックアップ体制
単一のインフラサービスに依存しすぎないよう、複数のCDNプロバイダーを併用するなど、冗長化を検討する必要があります。
3. 監視体制の強化
Cloudflareのステータスページや障害情報をリアルタイムで監視し、迅速に対応できる体制を整えておくべきです。
まとめ:インターネットインフラの脆弱性が露呈
2025年11月18日のX障害は、実際にはCloudflareという「インターネットの基盤」の問題でした。この出来事は、世界中の多くのサービスが一つのインフラ企業に依存していることのリスクを明らかにしました。
便利で効率的なインターネットサービスの裏側には、このような集中化のリスクが潜んでいます。今回の障害は約3時間で復旧しましたが、今後同様の事態が発生する可能性は十分にあります。
ユーザーとしては、冷静に状況を確認し、公式情報を待つことが最善の対応です。また、複数のサービスを使い分けるなど、リスクを分散させる工夫も大切です。
今回の教訓を活かし、より強靭なインターネット環境の構築が求められています。
参考情報
- Cloudflare公式ステータスページ
- 各種報道機関の発表
- SNSユーザーの報告
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