2025年12月に入り、各レンタルサーバー会社から緊急の告知が相次いでいます。「Gmail、外部メール利用不能まであと1ヵ月」「2025年中に移行を」という呼びかけが続く中、一体何が起きているのでしょうか?
この記事では、Googleが発表したGmailの重要な仕様変更について、その意味と影響、そして具体的な対策方法まで詳しく解説していきます。
今回の仕様変更は何を意味するのか?
まず結論からお伝えすると、2026年1月以降、ブラウザ版GmailでPOPを使った外部メールの受信ができなくなります。
これは簡単に言えば、「Gmailが、あなたの代わりに他のメールボックスまで手紙を取りに行ってくれるサービス」が終了するということです。
これまでは、Gmailという「秘書」が、別の場所にあるメールボックス(仕事用の独自ドメインメールやプロバイダメールなど)までわざわざ出向いて、郵便物を回収してきてGmailの受信トレイに表示してくれていました。しかし、Googleが「2026年1月からは、もう回収には行きません」と宣言したのが今回のニュースです。
終了する2つの機能について詳しく解説
Google公式ヘルプによると、2026年1月より以下の機能のサポートが終了します。
1. Gmailify(ジーメイルファイ)機能
Gmailifyとは、Yahoo!メールやOutlook.comなどの他社メールアカウントを、Gmailの画面上でGmailのように扱える便利な機能でした。
この機能を使うと、外部メールでも以下のGmailの便利な機能が適用されていました。
- 強力なスパム対策フィルター
- モバイル端末での改善されたメール通知機能
- 受信トレイの自動カテゴリ分け(メイン、ソーシャル、プロモーションなど)
- 検索オプションの演算子を使った高速検索
2026年1月以降は、これらの機能が外部メールアカウントには適用されなくなります。
2.「他のアカウントのメールを確認」機能(POP受信)
Gmailの設定画面にある「アカウントとインポート」タブの「他のアカウントのメールを確認」という項目から、外部メールアドレスを追加して利用していた方も多いはずです。
この機能では、POPという方式を使って、外部のメールサーバーからメールをGmailが自動的に取り込んでいました。これにより、以下のようなメールをGmailの受信トレイで一括管理できていました。
- 会社の独自ドメインのメール(例:info@example.co.jp)
- レンタルサーバーで作成したメールアドレス
- プロバイダメール(例:○○@ocn.ne.jp)
この便利な機能が、2026年1月以降は利用できなくなるのです。
なぜGoogleはPOPサポートを終了するのか?
今回の変更の大きな理由はセキュリティです。
POPは1980年代に作られた古い仕組みで、現代のセキュリティ脅威に対応しきれない課題を抱えています。
POPの主な問題点
- 通信が暗号化されない場合があり、セキュリティリスクが高い
- サーバー上のメール管理ができず、複数端末での同期に不向き
- 認証の仕組みが古く、最新のセキュリティ基準に対応していない
- 管理の甘い外部サーバーとの接続が攻撃の入口になり得る
Googleは、全体の安全性を高めるために、古く脆弱性を抱えるPOPでの外部受信を終了する判断を下しました。これは単なる機能の廃止ではなく、ユーザーのデジタルライフを保護するための前向きな「進化」と捉えることもできます。
自分が影響を受けるかどうかの確認方法
まずは自分のGmailでPOP設定を利用しているかを確認しましょう。確認手順は非常に簡単です。
確認手順
- パソコンでGmailにログインする
- 画面右上の「設定」アイコン(歯車マーク)をクリック
- 「すべての設定を表示」をクリック
- 上部タブから「アカウントとインポート」を選ぶ
- 「他のアカウントのメールを確認」という項目を探す
この項目にメールアドレスが表示されており、横に「POP3」という文字がある場合、その設定は2026年1月以降使えなくなります。
重要なポイント
何も表示されていない場合や、そもそもこの項目がない場合は、今回の変更の影響を受けません。通常通りGmailを使い続けることができます。
今回の変更で影響を受けない人
以下に該当する方は、今回の仕様変更の影響を受けません。
- 普段からGmailアドレス(@gmail.com)のみを使用している方
- 一般的なメールソフト(Outlook、Thunderbirdなど)でメールを管理している方
- レンタルサーバーのWebメーラーでメールを確認している方
- スマートフォンのGmailアプリでIMAP接続を利用している方
特に注意すべき点
Gmail自体のPOP機能がなくなるわけではありません。OutlookやThunderbirdなどのメールソフトを使って、Gmailアカウントのメールを受信する場合は、従来通りPOP、IMAPの両方が使えます。今回終了するのは、あくまで「Gmailが外部メールをPOPで取り込む機能」です。
具体的な4つの対策方法
それでは、影響を受ける方が取るべき対策を詳しく見ていきましょう。
対策1:GmailアプリでIMAP接続を利用する
スマートフォン・タブレット向けGmailアプリでは、引き続きIMAP接続による外部メールの追加・管理が可能です。
ブラウザ版Gmail側への同期は対象外となりますが、スマートフォンやタブレット上でGmailの利用を継続されたい場合は、アプリを使用したIMAP接続による運用を検討してください。
Gmailアプリは基本的にIMAPの仕組みで動作しているため、多くの場合、特別な対応は必要ありません。
メリット
- 設定が比較的簡単
- Gmailの使い勝手をそのまま維持できる
- 複数端末での同期が可能
注意点
- ブラウザ版Gmailの受信トレイには表示されない
- メール自体は外部サーバー側に保存される
対策2:他のメールソフトを利用する
PC環境でメールを管理される場合は、Outlook、Thunderbirdなどのメールソフトに設定して利用することも可能です。
これらのメールソフトでは、IMAP接続を使って外部メールを受信することが推奨されています。
おすすめのメールソフト
- Microsoft Outlook
- Mozilla Thunderbird
- Spark
- eM Client
設定時のポイント
接続方式は必ず「IMAP」を選択してください。各メールサーバーが提供するIMAPの接続情報(サーバー名、ポート番号など)を確認し、メールソフトに新しいアカウントとして設定し直しましょう。
対策3:メール転送を利用する
レンタルサーバーのコントロールパネルから、受信メールをGmailへ転送する設定を行う方法もあります。
この方法であれば、ブラウザ版Gmail上で受信したメールを引き続き確認することが可能です。
設定方法の概要
- レンタルサーバーのサーバーパネル(管理画面)にログイン
- メールアカウント設定を開く
- 転送設定で転送先にGmailアドレスを指定
注意点
転送するメール数やメール内容などによって、Gmail側で迷惑メールと判定され受信できない場合があります。設定後は必ずテストメールを送信して、正常に届くか確認してください。
対策4:Google Workspaceを導入する
独自ドメインのメールを引き続きGmailの機能で利用したい場合は、Google Workspaceの導入も選択肢の一つです。
Google Workspaceは有料サービスですが、独自ドメインでGmailの全機能を利用でき、ビジネス用途に適した機能も多数搭載されています。
Google Workspaceのメリット
- 独自ドメインでGmailの全機能が使える
- ビジネス向けの高度なセキュリティ
- Google Drive、Google カレンダーとの連携
- 管理コンソールでの一括管理
料金の目安
Business Starterプランで1ユーザーあたり月額680円程度から利用可能です。
移行時の重要な注意点
どの対策を選ぶにせよ、以下のポイントを押さえておきましょう。
既存メールデータのバックアップ
長年POPで運用してきた環境からIMAPに移行する際は、既存メールデータ(ローカル保存分)のバックアップを必ず取ってください。サポート終了より前に同期された過去のメールは、そのままGmailに残りますが、念のためバックアップしておくことをおすすめします。
テスト運用期間の確保
新しい設定に切り替えた後は、1〜2週間程度の「テスト運用期間」を設け、以下の点をチェックしましょう。
- メールが正常に届いているか
- 重複受信が発生していないか
- 迷惑メールフォルダに振り分けられていないか
古いPOP設定の削除
正しく受信できることを確認したら、古いPOP設定は削除しておきましょう。二重受信や重複メールの原因になることがあります。
よくある質問と回答
Q1:今までGmailに保存されたメールは消えますか?
いいえ、消えません。サポート終了より前にGmailに同期された過去のメールは、そのまま残ります。2026年1月以降に受信できなくなるのは、新しいメールのみです。
Q2:スマホのGmailアプリは影響を受けますか?
スマホ・タブレット向けGmailアプリでは、引き続きIMAP接続で外部メールを利用できます。ただし、ブラウザ版Gmailの受信トレイには反映されない点にご注意ください。
Q3:Gmail自体が使えなくなるのですか?
いいえ、違います。Gmail自体は今後も通常通り利用できます。今回終了するのは「Gmailが外部メールをPOPで取り込む機能」のみです。Gmailアドレス(@gmail.com)でのメール送受信は何も変わりません。
Q4:いつまでに対応すればいいですか?
2025年12月現在、タイムリミットまで約1ヵ月となっています。直前の移行はトラブルの原因になりますので、2025年中の移行準備をおすすめします。年明け早々に慌てないためにも、早めの対応を心がけましょう。
エックスサーバーの告知が話題に
レンタルサーバー大手のエックスサーバーは、2025年12月5日にサポート情報として本件に関する案内を公開しました。
同社公式Xアカウントのポスト(12月8日付け)は、12月9日17時時点で182万回以上表示されており、多くのユーザーがGmailの仕様変更に関心を持っていることがうかがえます。
お名前.comやロリポップ、バリュードメインなど、他のレンタルサーバー会社も続々と告知を出しており、業界全体で「2025年中の移行」を呼びかけている状況です。
まとめ:早めの対応で年明けを安心して迎えよう
今回のGmail仕様変更について、ポイントを整理すると以下の通りです。
変更内容
- 2026年1月以降、ブラウザ版GmailでPOPを使った外部メール受信ができなくなる
- Gmailify機能も同時に終了
影響を受ける人
- Gmailの「アカウントとインポート」→「他のアカウントのメールを確認」に外部メールアドレスを設定している人
対策方法
- GmailアプリでIMAP接続を利用する
- Outlook、Thunderbirdなど他のメールソフトを使う
- メール転送設定を利用する
- Google Workspaceを導入する
今回の変更はGoogle社による仕様変更のため、レンタルサーバー会社側での回避や延長対応はできません。該当機能をご利用中の方は、年内の移行準備をおすすめします。
設定後は必ず受信テストを行い、メールが正常に届くことを確認してください。早めの対応で、2026年を安心して迎えましょう。
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